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エステート・プランニングの必要性について

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不確実性を乗り越えるための エステート・プランニング (個人財産の総合的な設計・管理)

「巣ごもり」と呼ばれるライフスタイルが続くこの時期は資産管理を見直す好機かもしれません。既に計画をお持ちの方も、いろいろな問題を整理しようと考えておられた方も、この機会にエステート・プランニング(個人財産の総合的な設計・管理)について詳しくご検討なさってはいかがでしょうか。

今回はその参考となる手引きをご用意いたしました。

取り組みを進めようとお考えの場合は、各州で免許を受けている財産管理専門弁護士や、一人一人に合わせて正確な計画を立案する税務アドバイザーにご相談いただくことをお勧めいたします。

感染症の流行が拡大する中で、個人財産の税務や相続について今まさに大きなご不安を抱いておられる方は多くないかもしれませんが、医療や財産上の意思決定について、「長期間入院することになったらどうなるか?」「財産分配の方法を家族にどうやって伝えればいいか?」といった間近な問題がご心配な方は多いのではないでしょうか。

エステート・プランニングはそうした疑問にお答えし、みなさまとご家族のご安心を支えます。

エステート・プランニングは、相続時の財産分割、未成年後見人の指名、ご本人に代わって意思決定を行う代理人の決定といった幅広い対象を取り扱います。

エステート・プランニングとは?

エステート・プランニングは、相続時の財産分割、未成年後見人の指名、ご本人に代わって意思決定を行う代理人の決定といった幅広い対象を取り扱います。エステート・プランニングの最も重要な要素は意思能力喪失時の計画です。これは、ご本人が意思表示不能となった場合、誰にそれを代わって行わせるかを決定することであり、老若男女あるいは財産の大小にかかわらず誰にでも当てはまる問題です。18歳以上の全ての方に永続的委任状と医療事前指示書の見直しや作成をお勧めします。また、成人済みのお子様だけでなく、みなさまが緊急時に責任を負うことになるご家族やご友人についても併せてご支援をお勧めいたします。

エステート・プランの主な要素

エステート・プランには各種の書類が含まれます。その内容の概略を以下に記載します。それらの文書について財産管理専門弁護士が提供できる詳細な情報や、特に現在確認すべき個々の最重要な要素についてもご説明いたします。

遺言書

エステート・プランについて、これまでは遺言書が最も中心的な書類でした。近年では、撤回可能生前信託を計画の中心とし、いわゆる「注ぎ込み遺言」

によりそれを補足するという方式が多く採用されるようになっています。遺言書または生前信託のどちらを中心とする場合でも、それらの文書において、財産の処分に責任を負う受託者

の指名、財産分配方法の指示(相続人のために信託を設定して税制優遇措置を適切に利用しつつ将来の財産管理を行うなど)、未成年後見人の指名などを行います。遺言書の新規作成(または作成済み遺言書の変更)は今日では困難ですが、全く不可能というわけではありません。その場合は、ご友人、ご家族および信頼できる産管理専門弁護士に相談するようご依頼ください。ほとんどの弁護士が電話やビデオ会議での相談に応じており、対面で面談せずに文書の草案を作成してくれます。通常、遺言が有効となるためには書面により行う必要があり、かつ被相続人と利害関係のない証人2名が被相続人の署名を証明する必要があります。配偶者や子などの相続人は被相続人との利害関係を有するため、遺言書への自筆署名について証人となることはできません。そこで、法的要件とソーシャル・ディスタンスの両方を満たす新しい手法を弁護士が考案しています。

撤回可能生前信託

撤回可能生前信託は遺言書に代わる手段として用いられます。

撤回可能生前信託は設定当初の作業が遺言書より多くなりますが、遺言書より大きな利点があります。利点の一つは、裁判所による財産分配手続きである遺言検認が不要となることです。これにより相続人は、被相続人の没後において相続財産の管理に要する時間と費用を削減できるといわれることが多いようです。

もう一つの利点は、被相続人本人が意思能力を喪失した場合に、共同受託者または承継受託者が本人に代わって信託財産の所有権者となり得ることです。これは現在のような時期には特に考慮する意義が大きいといえるでしょう。それらの受託者は、所有権者の資格を得ることにより、小切手の振出しや請求書の支払いのほか、相続財産の投資についてフィナンシャル・アドバイザーと協議することもできるようになります。

撤回可能生前信託を設定する際には共同受託者または承継受託者を指名します。通常は、本人の意思能力喪失時または死亡時に本人を引き継ぐ承継受託者を指名します。

共同受託者の指名については、承継受託者を指名するより利点が大きい可能性があるという点で検討する価値があります。承継受託者は受託者としての権限を引き受けるのに先立って本人の意思能力喪失を証明する必要がありますが、共同受託者にはその必要がないためです。

通常、本人の意思能力喪失を証明するには医師1~2名の意見書が必要であり、外出や通院をできるだけ避けたい現在の環境では困難となりつつあります。選任については、配偶者を共同受託者とするのが一般的ですが、専門家による専門受託者や銀行、信託会社など法人受託者の指名も検討できます。誰を選任するかによって、誰が相続財産の取り扱いを行うかという結果が生じますので、選任の決定は重要となります。受託者に関する下記の箇所をお読みいただき、選択肢について財産管理専門弁護士とご相談ください。撤回可能生前信託を設定するには、信託契約の草案作成、信託設定の実行、本人名義から信託名義への財産移転といった手続きが必要となります。信託契約の内容決定と草案作成には資格のある弁護士による支援が必要です。

信託設定の実行には委託者(信託の設定者であり通常は単独の個人または婚姻関係にある夫婦をいいます)の署名が必要であり、ほとんどの場合に公証人が併せて署名します。

一部の州(ワシントン州など)ではオンラインによるリモートでの公証人署名が可能ですが、その他の州(カリフォルニア州やオレゴン州など)では同一の物理的空間において公証人が署名することを義務づけています。全国各地の移動公証役場では、ソーシャル・ディスタンスのルールを守りながら合法的に公証を実施する技術の開発に取り組んでいます。

委任状

委任状とは、本人に代わって金融や医療に関する決定を行う権限を第三者に与えるための法律文書です。

この場合、「代理人」に権限を与える方法として、委任状の署名時点で直ちに権限を与える方法と、本人が意思能力を喪失した時点で権限を与える方法のどちらかを選ぶことができます。信託の場合、本人の事柄を本人自身で管理できない状態を「意思能力の喪失」と医療専門家が判定することがほとんどです。医療委任状については、意思能力喪失時に限って代理人に権限を与える形式かどうかをご確認ください。その形式の場合、代理人が本人に関する重大な医療上の決定を行う際に必要となる手続きが加重されます。それに代えて、署名時点で直ちに権限を与える医療委任状の形式(「永続的委任状」といいます)をご検討ください。医療委任状では、本人の医療に関する決定権限を指定代理人に与えるだけでなく、本人が受けたい医療の種類についても指示することができます。この指示は医療事前指示書(後述)に記載した本人の希望と一致させることが必要です。一部の州(カリフォルニア州など)ではこれらの2つの文書を1つにまとめ、医療事前指示書が医療委任状を兼ねるようにしています。委任状により代理人に与える権限には、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA法)

に基づいて本人の医療情報を入手する権限および予後診断や治療法について医療提供者と相談する権限を含めることが必要です。委任状は本人に代わって金融や医療の決定を行う権限を第三者に与える法律文書です。ほとんどの州では、委任状への署名について、証人2名(本人が指名した代理人と医療専門家を除きます)による証明または公証人の署名を義務づけています。不動産が関係する取引を代理人に実行させる必要がある場合は公証人による署名をお勧めいたします。上述のとおり、代理人や移動公証役場は、文書への署名の法的要件を満たしつつソーシャル・ディスタンスやステイホームのルールを守る手続の開発に取り組んでいます。

医療事前指示書(リビング・ウィル)

医療事前指示書は終末医療に関する本人の希望を明確化するものであり、リビング・ウィルとも呼ばれます。

通常は、永久的な意識不明状態となり現実的にみて回復の見込みがない場合や終末期状態と診断された場合に希望する医療の内容を記録します。こうした文書は、家族や医師に本人の希望を伝えることにより不必要な医療の延長を防ぎ、家族や医師が本人に代わって難しい決断を行う負担を軽減することを目的として従来使われてきました。しかし、標準的な形式のままでは新型コロナウイルス感染症(または治療法が確立されていないその他の新疾患)に対応できないため、医療事前指示書の文言を調整して異例の治療や実験的な治療を(治療差し控えに代えて)許可することをお勧めいたします。新型コロナウイルス感染症の発症者が、終末期状態と診断された場合に治療法がなければ延命治療を拒否する意思を有している可能性がある場合は、挿管と人工呼吸器の使用や効果が証明されていない新しい医薬品の使用が適していることもありえます。医療事前指示書は、治療の選択に関する希望を反映させることができますので、様々な状況においてご本人の意思を愛する方々に伝えることを可能にする手段と考えるのが望ましいでしょう。医療事前指示書の署名や変更の要件は委任状と同じです。本人の署名に対して証人2名による証明または公証人による署名が必要となります。

エステート・プランニングにおける検討点

エステートプランの新規作成や現行計画の見直しを行う際に検討すべき事項について要点を以下のとおりまとめました。

受託者

「受託者」とは本人の生前または相続発生後に本人を代理する第三者を表す法律用語です。

遺産の執行者、未成年後見人、委任状に基づく代理人、撤回可能生前信託の承継受託者や共同受託者は全て受託者に含まれます。受託者の選任は一般にそれほど重視されませんが、法律業界や金融業界ではエステート・プランニングの過程で本人が決定を行える唯一の機会として重視されています。受託者に当然求められる能力としては、能力の高さ、組織的対応、ご本人の利益を最大化する合理的で長期的視点に立った決定、受託者としての役割に課される法的要件の理解、責任を果たすことができる丈夫な体と精神力を挙げることができます。家族、信頼する友人やアドバイザーのほか、専門家を受託者に選任することもできます。

既に受託者をご指名済みの方は、その受託者に現在でも十分に責任対応能力があるかどうかを改めてご検討の上、ご本人の選択をその受託者にお伝えください。

また、遠方にいて長距離の移動が難しい家族より、医療委任状に基づく現地の代理人を(短期間でも)指名する方が利点が大きい場合がありますので、その指名についてもご検討ください。そのほか、代理人の権限については、ステイホームのルールや面会者に関する病院の規則により対面での情報共有が不可能な場合に電話やビデオ会議による情報共有を代理人に許可する規定を、委任状と医療事前指示書に明示することをお勧めいたします。

受託者とは本人の生前または相続発生後に本人を代理する第三者を表す法律用語です。

最後に、ご本人の「意思能力喪失」時に限り受託者に権限を与える形式の委任状をご選択済みの場合は、撤回可能生前信託の共同受託者として直ちに権限を与える方法や、(意思能力喪失時に限り権限を与える形式ではなく)「永続的」委任状に基づいて直ちに権限を与える形式の方がより適切ではないかどうかをご検討ください。現在の危機的状況下では、受託者に代理権限を与えるために必要な「意思能力喪失」の証明がますます困難になっています。金融関係について何らかの人物に権限を与えることをご希望にならない場合は法人受託者の指名をご検討ください。法人受託者は免許を受けて規制に服する事業者であり、義務違反の場合にはご本人とその相続人に対して責任を負うこととされています。

医療委任状と医療事前指示書に固有の指示

治療の選択に関する指示内容を再度ご確認いただき、新型コロナウイルス感染症その他の疾病に罹患した場合に希望する治療についての特別な文言を加えることも併せてご検討ください。

また、医療委任状に基づく代理人に対して、ご本人の状態について医師と協議するHIPAA法上の権限を付与済みであることをご確認ください。遺言や信託についてご検討になる際には相続人や相続財産にもご留意ください。最後に、医療上の緊急時にご家族やご友人を支援する医療委任状等、法的文書の作成のお手伝いを考慮することも一つの策かもしれません。18歳以上のお子さまや愛する方々にも医療委任状や医療事前指示書をご作成いただくようご手配ください。

相続人と受益者

遺言や信託についてご検討になる際には相続人や相続財産にもご留意ください。

また、退職口座(401(k)口座・個人退職勘定(IRA)・年金口座)、生命保険証書、死亡受取人指定銀行・証券口座などについても、記録上の受益者として誰を指定しているかを必ずご確認いただき、それらの方を資産の相続人として選択することを現在でもご希望かどうかご再考ください。誕生、死亡、離婚により選択が現在の実態に合わなくなる場合もありますので、できるだけ早く更新することが重要です。金融口座に関する受益者の指名はほとんどの場合オンラインまたは郵送により行えます。

ご家族との協議

金融と医療に関する希望やエステートプランについては、家族などの方と話し合うことが難しい場合も考えられます。

とはいえ、ご本人の心配や希望についてご家族によく知ってもらえば、ご家族の側でも緊急時にご本人の希望をかなえることが容易になります。ご家族と共有すべき最重要事項についてご判断いただき、このステイホームの時期を生かしてご家族の方と相談する機会をお持ちになることをご検討ください。

さらにご検討いただきたい事項

資産運用の見直しについてUnion Bankの営業担当者にご連絡ください。疑問点や目的変更のご要望がございましたらご相談を承ります。

エステートプランをまだお持ちでない場合は、財産管理専門弁護士や税務アドバイザーの紹介をご請求いただき、計画をご策定ください。

直ちに権限を付与する形式の委任状や医療事前指示書についてご質問がございましたらお寄せください。

エステートプランを既にお持ちでしたら、重要な要素について再度ご確認ください。

変更が必要な場合は、営業担当者、資産運用ストラテジスト、弁護士人その他の信頼できるアドバイザーにご相談ください。

文書の原本は安全な場所に保管し、家族の方がすぐ取り出せるように保管場所をお伝えください。

金融機関の取引内容(金融資産、保険、債務)は全て一覧表を作成して記録し、オンラインのアカウントやパスワードについても併せてご記録ください。

委任状と医療事前指示書については、写しをご作成いただき、緊急時に取り出しやすい場所に保管していただくことをご検討ください(ただし、遺言書や信託文書の写しはご作成にならないでください)。

それらと併せて、医療委任状に基づく代理人向けの書類として、緊急連絡先(医師、家族、職場の人物)の一覧と通常服用している医薬品の一覧をご用意ください。

私たちはいつでもみなさまのお側でご支援いたします。

日本語でのご相談はお気軽にお問い合わせください。

 

別紙
以下のリンクは医療事前指示書およびエステート・プランニングに関する州別の詳細情報です。

カリフォルニア州:
カリフォルニア州司法長官(終末医療): https://oag.ca.gov/consumers/general/care

ワシントン州:
社会福祉保健部(法務計画): https://www.dshs.wa.gov/altsa/home-and-community-services/legal-planning

オレゴン州:
オレゴン保健局(公共衛生部門): https://www.oregon.gov/oha/PH/ABOUT/Pages/AdvanceDirectiveAdoptionCommittee.aspx

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